脂質代謝がうまく回っていないということは、糖代謝がメインで回っているということです。
食事直後には、代謝の貯蔵エネルギー源が蓄えられる
消化物が吸収されている食後数時間の間は、豊富な代謝エネルギー源の供給がある。これらの条件下では、ほとんどの組織においてグルコースが酸化のための主要エネルギー源となっている。これは呼吸商(消費された酸素に対する生成した二酸化炭素の割合)が、空腹時の0.8から上昇して1近くになるということから分かる。
筋肉と脂肪組織におけるグルコースの取り込みはインスリンによって制御されており、このホルモンは、門脈の血糖値の上昇に応答して、膵臓のランゲルハンス島β細胞から放出される。空腹時には、筋肉と脂肪組織のグルコース輸送隊(GLUT4)は、細胞内の小胞にとどまっている。インスリンに対する初期の応答はこれらの小胞の細胞膜への移動であり、小胞は細胞膜と融合し、活性を持った輸送体が細胞膜表面に存在するようになる。これらのインスリン感受性の組織では、血液からの有意なグルコースの取り込みはホルモンの存在下のみで起こる。空腹時にインスリンの分泌が減少すると、GLUT4は細胞内部へと移動し、グルコースの取り込みが減少する。しかしながら筋肉においては、神経の興奮に応答して細胞質のカルシウムイオン濃度が上昇し、これによってグルコース輸送体を含む小胞が細胞膜へと移動し、活性を持った輸送体が細胞表面に存在するようになる。これはインスリンの刺激の有無にかかわらず起こる。
肝臓のグルコースの取り込みはインスリンに依存しない。しかし、肝臓はグルコースに対して高いKmをもつヘキソキナーゼのアイソザイム(グルコキナーゼ)をもっている。それゆえ、肝臓へ入るグルコース量が増加すると、グルコース6-リン酸の合成速度増大する。この状態では、エネルギーを生じるための代謝が肝臓での必要度を上回るので、グルコース6-リン酸は主にグリコーゲン合成に利用される。肝臓と骨格筋の両方で、インスリンはグリコーゲンシンターゼを活性化し、グリコーゲンホスホリラーゼを不活化する。肝臓に取り込まれた余分なグルコースのいくらかは脂質合成にも使われ、トリアシルグリセロールが生成される。脂肪組織においては、インスリンはグルコースの取り込み、グルコースの脂肪酸への変換、脂肪酸のエステル化によるトリアシルグリセロールの生成を活性化する。同時に、細胞内での脂肪分解と遊離脂肪酸の放出を阻害する。
インスリンはオートファジーの抑制因子。同化ホルモンという性格上、普通に考えてそういうもんだろうね。